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ウサギ小話19話「牧草の種類2」

 時間が空いてしまいましたが、牧草についての続きを書きたいと思います。今回はチモシーについてです。

 チモシーは、おいしさと栄養価を兼ね備え(別名:牧草の王様)、ウサギ用牧草として最も多く利用されます。そのチモシーですが、産地、何番刈りか、シングルプレスといった説明付きで販売されており、同じチモシーでも特徴がありますのでそのあたりを書いて行きたいと思います。

 はじめに産地として、チモシーは寒冷な環境を好むため、本州のような高温多湿な環境では生産ができません。生産地の多くは北米やカナダで、日本だと主に北海道で生産されています。海外製品では、輸入前に燻蒸という一種の消毒作業が行われています。そのため、安全性などに疑問を持たれる方もおられると思いますが、使用されるのは残留性の低い薬剤であること、輸入の際には必ず植物検疫を経ることから燻蒸によるウサギの健康被害の心配は無いと考えられています。北海道産のチモシーは生産量が多くはないので、実際に販売店などで購入されるチモシーの多くは北米産です。

 続いて何番刈りの違いをご説明します。その年の初め、だいたい春~初夏に刈り取られるのが一番刈りです。冷涼な環境でじっくりと伸びたチモシーを、穂が出きってしまう前に刈り取りとります。一番刈りの特徴は太くしっかりした茎と多くの穂を含むことです。刈り取り後の同じ牧草地で再び育った分(新たに種を撒いて育てる場合も)、をさらに刈り取ったのが二番刈り、さらにその次が三番刈りです。二番刈りは、一番刈りから約50日後に刈り取られます。夏場の生産となるため、葉がすくすく良く伸びて茎や穂が少ないのが特徴です。葉が多く、全体としては柔らかく食べやすいのが特徴です。ただし茎に関しては、多くの葉を支える必要がある分、消化しにくい種類の繊維が増えると言われています。三番刈りはさらにその後、初冬に刈り取られます。二番刈りよりもさらに柔らかく繊維量が少ないとされます。

 シングルプレス、ダブルプレスというのは、輸送スペーツ節約のための圧縮の違いです。ダブルプレスではより強く圧縮されているため同じ牧草でも茎が潰れ柔らかくなり、繊維としての物理性は劣りますが、柔らかい牧草を好むウサギには向いています。同じ原理で、固い牧草を嫌うウサギにはカットしたり、すりこぎで叩くなどして加工すると食べてくれる場合もあるようです。

 最後に、チモシーの梱包方法として

 ここまでチモシーについてあれこれ書いてきましたが、結局どのチモシーが良いのかというと、成長期を過ぎたウサギにはまずはチモシーの一番刈りを主体に与えるのがおすすめです。ただし、以前のブログにも書いた通り、ある程度いろいろなものを食べることがウサギの一生には必要です。一番刈りチモシーが理想的ではありますが、柔らかい牧草ならばモリモリ食べてくれるウサギ、老齢、歯科疾患を治療中である場合など他の牧草を与える方が良い状況もありますので臨機応変にといったところです。 

 長くなりましたので、今回はこのあたりで、次回以降そのほかのイネ科牧草、マメ科牧草について書きたいと思います。

 

チモシー一番刈り

チモシー二番刈り

チモシー三番刈り