うれしいことに、ミーコは口をモゴモゴさせながら順調に麻酔からさめてきました。
床にすわりこんだ息子さんもしゃんとして立てるようになりました。
後は帰宅して自力で食べられるかどうかで治療が成功したか否かがはっきりします。

翌日の再診時にOさんは嬉しそうに、口はまだモゴモゴさせているが、自分から好物のキャベツを食べた。とおっしゃいました。その後しばらくは消化管を動かす投薬を続けて、ペレットも食べられるようになり、体重ももとに戻りました。

初めての治療はなんとか成功しました。
このときのうれしさは今でもはっきりと覚えています。

もし、このとき治療がうまくいかなかったら、私は2匹目の診断もつけられなかったと思いますし、臼歯の治療にとりかかるのはずっと後になったと思います。〔私は臆病な性格で、石橋を何度もたたかなければ渡れない性分なのです〕
不慣れな獣医を信じて治療をまかせてくれたOさんには感謝をしてもしきれないですし、なにより回復してくれたミーコのことは一生わすれないでしょう。

年月がたち、ミーコを看取ったO さんは今は愛犬をつれて病院に来て下さいます。
酸欠でたおれた息子さんは、その後日本で一番難しい大学に入学し、今は放射線の研究者になっておられるそうです。

治療器具の開発や麻酔薬の進歩で、今はウサギusaope
以外のモルモットやチンチラに対する歯科治療もできるようになりました。
〔参考に、今使っている器具を写真にしました)
ウサギに限らず、ここ20年あまりの間に獣医療は格段に進歩しました。

しかしながら、私にとってのミーコはどの獣医師にもいると思います。
大切な動物を診せてくれる飼い主さんがいなければ、技術の進歩も獣医療の進歩もないのです。